ACRi ルームで利用できる FPGA ボード

ACRi ルームでは、FPGA 設計の教育や基礎習得のための環境として Arty A7-35T を100枚と DE10-lite を9枚提供しています。また、FPGA アクセラレータの研究や検証評価のための環境として Alveo を搭載した4台のサーバを、AI 推論アクセラレータの研究や検証評価のための環境として VCK5000 Versal を搭載した1台のサーバを、それぞれ提供しています。その他、いくつかの実験的な環境もプレビューとして提供しています。

教育・基礎習得向けボード

Arty A7-35T, CMod A7-35T, Nexys A7-100T

Arty A7-35TCMod A7-35T, および Nexys A7-100T は、AMD (Xilinx) 社の FPGA 設計の基本を学ぶのに適した小規模の FPGA ボードです。小規模といっても、論理素子として20,800個の6入力 LUT と 41,600個のフリップフロップ (Arty A7-35T の場合) を搭載しており、ちょっとしたマイコンを回路として搭載するには十分ですので、簡単なシステムを試作・評価するくらいのことは十分に可能です (いい時代になりました)。

もちろん遠隔環境ですのでボード上のスイッチや LED を直接操作したり確認することはできませんが、VIO モジュールを使ったりシリアル通信を行ったりすれば、ボードとのやりとりが可能です。

ACRi ルームでは、vs + 3桁の数字の名前のついたサーバにそれぞれ1台の Arty A7-35T または Nexys A7-100T が接続されています。2023年12月18日以降のサーバの基本的なスペックは以下のとおりです。

項目vs0xx ~ vs5xxvs6xx ~ vs7xxvs8xxvs9xx
CPUIntel Core i9-12900KF
(2スレッド)
Intel Core i9-9900
(2スレッド)
メモリ8 GB DDR46 GB DDR4
OSUbuntu 22.04 LTSUbuntu 22.04 LTS
搭載ボード
(FPGA)
Arty A7-35T
(XC7A35TICSG324-1L)
CMod A7-35T
(XC7A35TICSG324-1L)
Nexys A7-100T
(XC7A100TCSG324-1)

名前や番号のつけ方から想像できるかもしれませんが、実際にはこれらのサーバは物理サーバ上に構築された仮想サーバです。vs001 ~ vs010 は物理サーバ 0 上に、vs101 ~ vs110 は物理サーバ 1 上に……というように構築されています (つまり、各物理サーバには10台の Arty A7-35T が接続されています)。

物理サーバに接続された Arty A7-35T。

ユーザアカウントが作成されたときの通知に、利用を推奨する vs サーバの番号が含まれているかと思います。負荷分散のため、推奨サーバの利用にご協力ください。

DE10-lite

※ DE10-lite を搭載したサーバは、現在停止中です。

DE10-lite は、Intel 社の FPGA 設計の基本を学ぶのに適した小規模の FPGA ボードです。論理素子として LUT (4入力) とフリップフロップが各50,000個搭載されています。LUT の構造が異なるため単純比較はできませんが、おおむね上述の Arty A7-35T と同規模の FPGA が搭載されています。

ACRi ルームでは、vsA + 2桁の数字の名前のついたサーバ (vsA01, vsA02, …, vsA09) にそれぞれ1台の DE10-lite が接続されています。サーバの基本的なスペックは以下のとおりです。いずれも物理サーバ 10 上に構築された仮想サーバです。

項目内容
CPUIntel Core i9-10900 (2スレッド)
メモリ6 GB DDR4
OSUbuntu 18.04 LTS
搭載ボード (FPGA)DE10-lite
(10M50DAF484C7G)

vsA?? サーバ上での DE10-lite の利用方法 は、ACRi ブログ上の記事の1つとして公開しています。

DE10-lite は標準ではシリアル入出力をもちませんが、ACRi ルームでは汎用 I/O (GPIO) の一部のピンを USB-UART 変換モジュールに接続することで、シリアル入出力をサポートします。FPGA → PC へのデータ送信には AA2 (DE10-lite の GPIO 40番ピン) を、PC → FPGA へのデータ受信には AB2 (DE10-lite の GPIO 39番ピン) を、それぞれ使用してください。

アクセラレータ研究・検証向けボード

Alveo U200/U250/U280 (ES1)/U50

Alveo は、高性能な FPGA アクセラレータを実現するためのアクセラレータカードです。

ACRi ルームでは、as001 ~ as004 サーバにそれぞれ1台の Alveo が搭載されています。サーバによって異なる型番のボードが搭載されていますので、用途に応じて使用するサーバをお選びください。as001 ~ as004 の基本的なスペックは以下のとおりです。

項目内容
CPUIntel Core i9-9900 (8コア16スレッド)
※ うち14スレッドが利用可能
メモリ128 GB DDR4
※ うち120GBが利用可能
OSUbuntu 18.04 LTS
搭載ボードas001: Alveo U200
as002: Alveo U250
as003: Alveo U280-ES1
as004: Alveo U50

Alveo サーバの詳しい利用方法は別の記事で紹介しています。リンク先をご覧ください。

※ Alveo U200 を搭載していた ag001 サーバは、2023年3月15日をもって ACRi ルームでの稼働を停止いたしました。ご利用ありがとうございました。

VCK5000 Versal

VCK5000 Versal は、AI 推論向けに特化したアクセラレータを実現するためのアクセラレータカードです。通常はサーバの PCIe スロットに装着して使用します。

ACRi ルームでは、as005 サーバに1台の VCK5000 が搭載されています。as005 の基本的なスペックは以下のとおりです。

項目内容
CPUIntel Core i7-11700K (8コア16スレッド)
※ うち14スレッドが利用可能
メモリ128 GB DDR4
※ うち120GBが利用可能
OSUbuntu 20.04 LTS
搭載ボードVCK5000 Versal

VCK5000 Versal の紹介と詳しい利用方法 は ACRi ブログ上の記事の1つとして紹介しています。リンク先をご覧ください。

暫定運用中のボード

※ 以下のサーバは、現在停止中です。稼働中のサーバの安定運用を確認後、順次再開します。

DE10-Agilex

DE10-Agilex は、Intel FPGA を搭載したアクセラレータカードです。ACRi ルームでは、iserv1 サーバに1台の DE10-Agilex が搭載されています。現在、サーバの予約はせずに利用できます。iserv1 の基本的なスペックは以下のとおりです。

項目内容
CPUIntel Core i9-11700K (8コア16スレッド)
メモリ64 GB DDR4
OSUbuntu 20.04 LTS
搭載ボードDE10-Agilex

iserv1 の詳しい利用方法 は別の記事で紹介しています。リンク先をご覧ください。

Arty A7-35T (TCP/IP による動的部分再構成)

ACRi ルームでは、vs801 ~ vs804 の4台のサーバに、Chiptip Technology と東京工業大学の共同研究の成果に基づくシステムが搭載された Arty A7-35T がそれぞれ接続されています。このシステムでは、TCP/IP パケットを送信することで、ネットワークから簡単にパーシャルリコンフィグレーション (動的部分再構成) を試せるようになっています。

サーバの予約が必要です。vs801 ~ vs804 の基本的なスペックは以下のとおりです。

項目内容
CPUIntel Core i5-12600 (6コア12スレッド)
メモリ128 GB DDR4
OSUbuntu 22.04 LTS
搭載ボードArty A7-35T
(XC7A35TICSG324-1L)

vs801 ~ vs804 上の Arty A7-35T の詳しい利用方法 は ACRi ブログ上の記事の1つとして紹介しています。リンク先をご覧ください。

PYNQ-Z1

PYNQ-Z1 は、Xilinx Zynq SoC を Python を通じて手軽に扱うためのプラットフォームである PYNQ のために開発された、小規模の評価ボードです。ACRi ルームでは、vs701 サーバに PYNQ-Z1 が1台接続されています。ただし、現時点では PYNQ をこのボード上で動作させてはいません。そのため、ACRi ルームの PYNQ-Z1 はベアメタルの Zynq-7020 評価ボードとしての運用となります。

サーバの予約が必要です。vs701 の基本的なスペックは以下のとおりです。物理サーバ 10 上に構築された仮想サーバです。

項目内容
CPUIntel Core i9-10900 (2スレッド)
メモリ6 GB DDR4
OSUbuntu 18.04 LTS
搭載ボード (FPGA)PYNQ-Z1
(XC7Z020-1CLG400C)

Kria K26 (on KV260/KR260)

Kria K26 システムオンモジュール は、Xilinx Zynq Ultrascale+ MPSoC、DDR4 SDRAM、eMMC などを搭載した、エッジ AI アプリケーション向けのモジュールです。ACRi ルームでは、その評価ボードである KV260 (ビジョン AI 向け)、KR260 (ロボティクス向け) を各2台、暫定的に運用しています。いずれも Kria-PYNQ をインストールして、スタンドアロンのサーバとして運用しています。

現在、サーバの予約はせずに利用できます。ただし、SSH アクセスはできませんので、他の vs サーバなどを予約した上で、これらのサーバで動作している Jupyter Notebook にリモートデスクトップ上の Web ブラウザからアクセスして利用する形となります。また、定期的な再起動の後、サーバ上のデータは初期状態に戻りますので、ご注意ください。Kria K26 の基本的なスペックは以下のとおりです。

項目内容
CPUArm Cortex-A53 1.5 GHz (4コア)
メモリ4 GB DDR4
OSPYNQ Linux 3.0
(Ubuntu 22.04 ベース)
IP アドレス172.16.17.3 (KV260)
172.16.17.4 (KV260)
172.17.1.47 (KR260)
172.17.1.48 (KR260)

また、vs702 サーバには、PYNQ のインストールされていない、ベアメタルの Kria K26 (KV260 上の) が接続されています。こちらはサーバの予約が必要となりますので、vs702 サーバを予約してご利用ください。

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