ACRi ルームでは、FPGA 設計の教育や基礎習得のための環境として Arty A7-35T を100枚と DE10-lite を10枚提供しています。また、FPGA アクセラレータの研究や検証評価のための環境として Alveo を搭載した5台のサーバを、AI 推論アクセラレータの研究や検証評価のための環境として VCK5000 Versal を搭載した1台のサーバを、それぞれ提供しています。
Arty A7-35T
Arty A7-35T は、Xilinx 社の FPGA 設計の基本を学ぶのに適した小規模の FPGA ボードです。小規模といっても、論理素子として20,800個の LUT (6入力) と 41,600個のフリップフロップを搭載しており、ちょっとしたマイコンを回路として搭載するには十分ですので、簡単なシステムを試作・評価するくらいのことは十分に可能です (いい時代になりました)。
もちろん遠隔環境ですのでボード上のスイッチや LED を直接操作したり確認することはできませんが、VIO モジュールを使ったり、シリアル通信を行ったりすれば、ボードとのやりとりが可能です。
ACRi ルームでは、vs + 3桁の数字の名前のついたサーバにそれぞれ1台の Arty A7-35T が接続されています。サーバの基本的なスペックは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Intel Core i9-9900 (2スレッド) |
メモリ | 6 GB DDR4 |
OS | Ubuntu 18.04 LTS |
搭載ボード (FPGA) | Arty A7-35T (XC7A35TICSG324-1L) |
名前や番号のつけ方から想像できるかもしれませんが、実際にはこれらのサーバは物理サーバ上に構築された仮想サーバです。vs001 ~ vs015 は物理サーバ 0 上に、vs101 ~ vs115 は物理サーバ 1 上に……というように構築されています (つまり、物理サーバには最大15台の Arty A7-35T が接続されています)。

ユーザアカウントが作成されたときの通知に、利用を推奨する vs サーバの番号が含まれているかと思います。ACRi ルームでは、ユーザのデータが置かれている物理サーバの上に構築された仮想サーバを使うことを推奨しています。推奨された vs サーバを使うと、ネットワーク経由でのデータの読み書きが不要になるので、処理が少し速くなるかもしれません。
DE10-lite
DE10-lite は、Intel 社の FPGA 設計の基本を学ぶのに適した小規模の FPGA ボードです。論理素子として LUT (4入力) とフリップフロップが各50,000個搭載されています。LUT の構造が異なるため単純比較はできませんが、おおむね上述の Arty A7-35T と同規模の FPGA が搭載されています。
ACRi ルームでは、vsA + 2桁の数字の名前のついたサーバ (vsA01, vsA02, …, vsA10) にそれぞれ1台の DE10-lite が接続されています。サーバの基本的なスペックは以下のとおりです。いずれも物理サーバ 10 上に構築された仮想サーバです。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Intel Core i9-9900 (2スレッド) |
メモリ | 6 GB DDR4 |
OS | Ubuntu 18.04 LTS |
搭載ボード (FPGA) | DE10-lite (10M50DAF484C7G) |
DE10-lite は標準ではシリアル入出力をもちませんが、ACRi ルームでは汎用 I/O (GPIO) の一部のピンを USB-UART 変換モジュールに接続することで、シリアル入出力をサポートします。FPGA → PC へのデータ送信には AA2 (DE10-lite の GPIO 40番ピン) を、PC → FPGA へのデータ受信には AB2 (DE10-lite の GPIO 39番ピン) を、それぞれ使用してください。
Alveo / VCK5000 Versal
Alveo は、高性能な FPGA アクセラレータを実現するためのアクセラレータカードです。VCK5000 Versal は、AI 推論向けに特化したアクセラレータを実現するためのアクセラレータカードです。通常はサーバの PCIe スロットに装着して使用します。
ACRi ルームでは、as001 ~ as004、および ag001 サーバにそれぞれ1台の Alveo が搭載されています。サーバによって異なる型番のボードが搭載されていますので、用途に応じて使用するサーバをお選びください。as001 ~ as004 の基本的なスペックは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
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CPU | Intel Core i9-9900 (8コア16スレッド) ※ うち14スレッドが利用可能 |
メモリ | 128 GB DDR4 ※ うち120GBが利用可能 |
OS | Ubuntu 18.04 LTS |
搭載ボード | as001: Alveo U200 as002: Alveo U250 as003: Alveo U280-ES1 as004: Alveo U50 |
ag001 の基本的なスペックは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Intel Core i9-9940x (14コア28スレッド) ※ うち26スレッドが利用可能 |
メモリ | 128 GB DDR4 ※ うち120GBが利用可能 |
OS | Ubuntu 18.04 LTS |
搭載ボード | Alveo U200 |
Alveo サーバの詳しい利用方法は別の記事で紹介しています。リンク先をご覧ください。
また、as005 には1台の VCK5000 が搭載されています。as005 の基本的なスペックは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | Intel Core i7-11700K (8コア16スレッド) ※ うち14スレッドが利用可能 |
メモリ | 128 GB DDR4 ※ うち120GBが利用可能 |
OS | Ubuntu 20.04 LTS |
搭載ボード | VCK5000 Versal |